日本看護研究学会雑誌
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ACTプログラムを受けた精神疾患を有する人の家族の思いの変化
岡本 亜紀谷垣 靜子長江 弘子
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2014 年 37 巻 2 号 p. 2_39-2_48

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抄録
  本研究では包括型地域生活支援プログラム(ACT)を受けた精神疾患を有する本人の家族を対象に,半構造化面接法によるインタビューを行った。質的記述的研究デザインを用いた縦続比較的コード化とカテゴリー化を行い,家族の思いの全体像を示した。結果,[寄り添う人々がいることを感じる]ことにより[ありのままでいよう]と変化する過程が明らかにされた。その具体的な変化は,[忘れられない苦しみ]や[老いていくことの不安]がありながらも,家族自身に[寄り添う人々がいることを感じる]ことで,[誰にも言わずに耐えてきた本人の悲しみを感じる]共感的な思いが生じ,さらに[こころの病気だからと理解していく],[こころの病気に諦めをつけていく]ことで,[生活のための薬を続けてほしい]という思いや[こころの病気の人と在る]という思いの過程であった。家族支援として,家族の思いを肯定的に変化させる関係形成への示唆が得られた。
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© 2014 一般社団法人 日本看護研究学会
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