本研究は,日本の専門看護師(certified nurse specialist:CNS)が役割を獲得するまでの内面的成長プロセスを明らかにすることを目的に行った。研究協力を得られた11名のCNSを対象に半構造化面接を行い,その内容を質的に分析した。
その結果,対象者のCNSとしての内面的成長プロセスは,時間軸に沿って,①コンフリクトの時期,②精製の時期,③創出の時期,④発展の時期の4段階に分類することができた。対象者は,当初曖昧な役割認識のなかで悩み,周囲に支えられながら,自分自身のCNSとしてのあり方を深くかえりみる作業を繰り返し,やがて役割獲得の感覚を得ていた。そこまでにおおむね3年の月日を要していた。その後も経験と努力を積み重ね,6~10年という時間をかけて,自分なりの確固としたCNSの役割を獲得していた。
この成長プロセスを通して,CNSの大学院教育のあり方の検討,初任者のCNSに対するサポートの必要性,組織とCNSの関係の構築の必要性に関して看護の示唆を得た。