日本看護研究学会雑誌
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ひとりで暮らす要支援・要介護高齢者の老いの生き方
沖中 由美
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2017 年 40 巻 4 号 p. 4_649-4_656

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抄録

 本研究の目的は,ひとりで暮らす要支援・要介護高齢者がどのように老いを生きているのかを明らかにすることである。13名を対象に半構造化面接法によりデータ収集し,質的記述的に分析した。ひとりで暮らす要支援・要介護高齢者は,〈配偶者との離別による喪失感と自由〉〈日常的な緊張と不安〉〈子どもの考え次第でいずれは家を出る覚悟〉〈昔なじみの人がいなくなりケアスタッフがいまの支え〉という【老いとともにひとりで暮らす自由と孤独と緊張感】を抱き,〈衰えゆく身体と健康は自分で護る〉〈自分に見合った活動をする〉〈老いを生きぬく力がある〉〈老いに立ち向かわず受けいれる〉ことにより【老いてもいまの自分にできることを試し続ける】という老いの生き方をしていた。したがって,ひとりで暮らす要支援・要介護高齢者の人生経験に基づく老いを生きる力を通して,自らの役割を認識し,人生を肯定的に価値づけられるよう支援することが重要である。

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© 2017 一般社団法人 日本看護研究学会
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