日本看護研究学会雑誌
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成人期にある脊髄損傷者の性的存在としての自己に対する意味づけ
堀田 涼子市村 久美子
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2017 年 40 巻 5 号 p. 5_813-5_822

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抄録

目的:成人期にある脊髄損傷者が性的存在としての自己をどのように意味づけているのかを明らかにすることとした。
方法:脊髄損傷者8名に半構成的面接を実施し,質的記述的に分析した。
結果:入院中は【描く性別像との乖離】【男性・女性としての尊厳の保持】,退院後は【性行為での役割を果たす能力と目的の喪失】【性的対象との関係を築く機会と積極さの喪失】【失わずにいられた男性・女性としての自信の感受】の5のカテゴリーが導き出された。
結論:参加者が性役割としてとらえている,生殖する,性的な快楽を得る,性的対象と満足感を授受しあう目的を達成しているか,脊髄を損傷した自分を性的存在として認められるかという問いに対する答えが,男性や女性としての自己の評価につながっていたことが示された。そのため看護師は,セクシュアリティに対する多様な観点をもち,脊髄損傷者が性的存在としての価値や自信を見出すプロセスを支援する必要がある。

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© 2017 一般社団法人 日本看護研究学会
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