日本看護研究学会雑誌
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Coping Process Against Familial Breast Cancer by Second Patients within Blood Relatives
森田 公美子近藤 真紀子
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2020 年 43 巻 4 号 p. 4_715-4_731

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抄録

目的:家系で2人目の乳がん患者は,適応力を高め家系の存続を図る中核となる。本研究では,家系で2人目の患者の家族性乳がんへの対処過程を明らかにし家系を守る支援を検討する。
方法:対象者16名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した。
結果:発端者の闘病を目の当たりにした2人目患者は,乳がん発症前には強制力を伴わない警告と捉え深刻さを和らげる一方,発症時には感度の高い直観が働き迅速な受診行動をとった。発症後は,発端者ががん適応の良き導き手となると共に,発症リスクの高い未発症者を守る血族アドボケーターとなり,さらには遺伝性にとらわれず家系を越えた啓発者となった。
考察:家族性乳がんの家系を守る支援は,未発症者の危機への備えを怠ることなく平時の不安を和らげ,女性のライフイベントへの悪影響を最小限にし,発端者と2人目発症者が獲得した対処方法を家系の知恵として蓄積,共有することが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本看護研究学会
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