2021 年 44 巻 1 号 p. 1_41-1_50
目的:慢性心不全患者における病気認知の関連因子を明らかにするために,診療録調査及び質問紙調査を実施した。方法:The Common-Sense Modelを参考に研究の枠組みを作成し,背景因子,病気認知(B-IPQ),刺激,経験則(Heuristics)についてデータ収集を行った。160名を分析対象とし,B-IPQと刺激,経験則との単変量解析の後に有意差を認めた変数を独立変数とした重回帰分析を行った。結果:B-IPQには,「職業あり」(β=−.14),「安静時呼吸困難」(β=.17),「労作時呼吸困難」(β=.23),「倦怠感・易疲労感」(β=.21),「感情に関する指標(affective heuristic)」(β=.20)が関連していた(Adj R2=.43)。結論:症状の強さや病気に対する感情による影響の認識を確認し,適切な病気の認識ができるよう支援する必要性が示唆された。