2023 年 46 巻 4 号 p. 4_693-4_702
目的:本研究の目的は,病院に勤務する看護職のアレルギーの状況と職場のアレルギーに関する健康管理状況を明らかにすることである。方法:病院に勤務する看護職430名に横断的調査を行った。調査内容はアレルギーの有無,発症時期,職場のアレルゲン物質への接触頻度や職場の健康管理などであった。結果:有効回答者は264名,いずれかのアレルギーがある者は82.6%で,最も多かったのはアレルギー性鼻炎の41.7%であった。入職後にアレルギー症状が強くなった者は32.2%で,強くなった要因にはゴム製品アレルギー,洗剤・石鹸アレルギー,アレルギー性鼻炎があることが有意に関連していた。しかし,アレルギーに関する入職後の健康管理は個人に委ねられていた。結論:大部分の看護職にいずれかのアレルギーがあったが,職場の健康管理は不十分であった。今後は看護職のアレルギーに関する詳細な把握と職場の組織的な健康管理が必要である。