2025 年 48 巻 1 号 p. 1_17-1_27
目的:植込型補助人工心臓(LVAD)装着者の配偶者である介護者が新しい生活を探っていくプロセスを明らかにすることである。方法:対象者7名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。結果:介護者が新しい生活を探っていくプロセスには【覚悟を重ねる】,【緊張で張り詰める】,【折り合いのつけ方を探る】,【不協和音が生じる】,【LVADが生活に馴染む】の5つの段階がある。【折り合いのつけ方を探る】段階では,装着者の調子や介護者への態度によってプロセスが分岐することがある。プロセスには夫婦以外の他者からのサポートのあり方が影響する。結論:LVADによって介護者の生活には様々な変化が生じるが,プロセスが進むにつれて介護者はLVADがある生活との折り合いをつけていき,LVAD管理のルーティン化と,介護者と装着者の関係の再構築がなされることが示された。