日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム
シンポジウムのまとめ「ランゲルハンス細胞組織球症の病態と臨床」
本間 栄吾妻安 良太
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2009 年 29 巻 1 号 p. 83

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抄録

 ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は喫煙歴を有する若年男性に好発し,画像上,肺尖から上肺野優位に陰影が見られる.CT所見では,小葉中心性小結節陰影や空洞性結節,不整形の形態を示す空洞陰影,嚢胞性陰影,瘢痕様の小結節陰影などが認められる.初期には結節性病変,晩期では嚢胞性病変が主体となり,しばしば気胸を合併する.禁煙が有効で,予後は通常良好である. 形態学的にランゲルハンス細胞は核のくびれの著明な組織球で,CD1a,langerin,E-cadherin,S-100タンパク陽性であり,電子顕微鏡的には細胞質にBirbeck顆粒をもつ.肺に限局するLCH(PLCH)の病期別形態像は,細胞性結節期(cellular),細胞性・線維化期(intermediate),嚢胞形成期(cystic)の3期に経時的に分類でき,病期が混在することが特徴である.嚢胞形成機序はランゲルハンス細胞が細気管支から上位ならびに肺胞管に連続性に増殖し,壁の破壊とともに隣接する細気管支枝との癒合によって次第に拡大し不整形を呈すると考えられている. Mature Lymphoid & Histiocytic NeoplasmsのWHO分類では,LCHは,その悪性型であるLangerhans cell sarcoma(LCS)とともにHistiocytic and dendritic cell neoplasmsの中のTumors derived from Langerhans cellsとして分類されている.LCHの発症機序として上皮型dendritic cell,bombesin-like peptide,tobacco glycoproteinなどの関与が示唆されているが,詳細は不明である. 本シンポジウムではLCHの病態と臨床についての最新の考え方を5名のシンポジストに以下の順でまとめていただいた.(1)LCHの臨床(臨床経過,画像所見,治療,予後)(2)LCHの画像診断(画像診断の有用性と問題点)(3)LCHの病理(病期別形態像の特徴,嚢胞形成機序,鑑別診断)(4)LCHの発症機序(喫煙との関連性,樹状細胞を含めた免疫学的分子病態の観点から)(5)LCHの病態と臨床:総括.

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© 2009 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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