日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
難治性肺線維症合併サルコイドーシスの1剖検例
杉野 圭史磯部 和順岩田 基秀伊藤 貴文和田 知博鏑木 教平後町 杏子石田 文昭山越 志保佐藤 大輔阪口 真之佐藤 敬太佐野 剛坂本 晋高井 雄二郎赤坂 喜清渋谷 和俊植草 利公武村 民子江石 義信本間 栄
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2010 年 30 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

症例は59歳,女性.2002年に胃部不快感が出現.上部消化管内視鏡検査でびらんを伴う隆起性病変を認め,生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められた.胃サルコイドーシスが疑われたが,そのまま経過観察となっていた.2005年9月頃より労作時呼吸困難が出現したため,プレドニゾロン(PSL)40 mg/日が開始された.2006年5月に在宅酸素療法が導入され,2007年5月にPSL 10 mg/日まで減量された.しかし,徐々に呼吸困難ならびに胸部画像所見が悪化したため,PSL 10 mg/日に加えて,Nアセチルシステイン吸入およびシクロスポリンを併用投与した.2008年10月に亜急性の増悪をきたし,ステロイドパルス療法,アザチオプリン,シベレスタットを投与したが効果は得られず,呼吸不全で死亡した.剖検では,肺は通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia; UIP)パターンが主体であったが,小葉中心性および広義の間質の線維化も伴っていた.縦隔・肺門リンパ節および胃粘膜下に広範な硝子様結節を認めた.生前,胃生検で採取された非乾酪性類上皮細胞肉芽腫内ならびに剖検肺は抗Propionibacterium acnes抗体が陽性であった.膠原病を疑わせる所見ならびに明らかな粉塵,鳥類等の曝露歴はなかったことから,胃病変ならびに難治性肺線維症を合併したサルコイドーシスと診断した.

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© 2010 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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