日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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Print ISSN : 1883-1273
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症例報告
肺結核が併発し結核性腹膜炎と鑑別困難であった腹膜サルコイドーシスの1例
蓮尾 由貴中尾 彰宏久富 充郎河合 秀樹山中 秀高荒川 大吾小林 都仁夫前村 幸輔住田 敦小川 知美岩田 知子村田 直彦
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2011 年 31 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

症例は73歳男性.発熱と腹部膨満を主訴に受診.入院時腹部CTで腹水貯留とびまん性の腹膜肥厚を認めた.胸部CTでは肺野や縦隔の病変を認めず.血清ACE値は正常,リゾチーム値は高値,ツベルクリン反応・QFTはともに陰性であった.FDG-PETでは,ほぼ全ての腹膜に沿って著しい集積を認め,Gaシンチでも同様の所見であった.腹水は滲出性でリンパ球優位,ADA値は15.2 IU/L.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球の増加とCD4/8比高値を認めた.開腹下腹膜生検で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,腹膜サルコイドーシスの組織診断群と診断.腹水貯留は約40日で,発熱は約50日で自然に軽快.第64病日に肺野に新しく陰影が出現.気管支洗浄液にて結核菌塗抹・培養陽性であり肺結核の合併と診断.腹膜サルコイドーシスは非常に稀であり,FDG-PET所見も報告がなく,続発して肺結核を発症した事も興味深く,報告する.

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© 2011 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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