日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
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原著
腎機能障害を呈したサルコイドーシス症例の検討
安東 優西尾 末広江原 千尋増田 大輝藤崎 秀明山末 まり石井 稔浩竹中 隆一伊東 猛雄濡木 真一縄田 智子宮崎 英士熊本 俊秀
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2012 年 32 巻 1 号 p. 101-105

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抄録

腎機能障害を呈したサルコイドーシスの頻度,病態,臨床経過,治療予後について検討した.対象は2001 年1月から2011 年6月までに当科に入院し,組織学的にサルコイドーシスと診断した106 症例とした.腎機能障害をeGFR<60 mL/min/1.73m2 が少なくとも3ヵ月以上続くものと定義すると,腎機能障害を呈するサルコイドーシス患者は16例(15.1%)であった.そのうち,組織学的に腎サルコイドーシスと診断した症例は4例(3.8%),肉芽腫を認めないが腎病変を強く示唆する臨床所見を認め腎サルコイドーシスが疑われた症例は7例(6.6 %)であった.血清Ca 濃度は全例11 mg/dL以下であり,腎機能障害の原因としてCa 代謝異常の関与は低いと考えられた.また,経過を検討すると,ステロイド治療により6ヵ月後のeGFR値は若干改善したものの,全例で60 mL/ min/1.73m2 未満に留まった.我々の検討では,サルコイドーシスに関連する腎機能障害の原因としてCa 代謝異常の関与は低いことから,腎機能障害を認める場合は腎生検による詳細な検討が必要である.

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© 2012 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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