日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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学会受賞講演
サルコイドーシスの疾患感受性遺伝子に関する研究
石原 麻美
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2013 年 33 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

サルコイドーシスは多因子疾患であり,遺伝的素因と外的環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている.筆者らはサルコイドーシスの発症に関与する遺伝要因(疾患感受性遺伝子)を同定することを目的として,候補遺伝子アプローチを行ってきた.まず,サルコイドーシスにおけるHLA(human leukocyte antigen)遺伝子タイピングを初めて行い,第6染色体短腕上のHLAクラスⅡ領域に位置するHLA-DRB1遺伝子が疾患発症に関わっている可能性を報告した.HLA以外の疾患感受性遺伝子として,HLA-DRB1遺伝子の近傍に位置し,T細胞抑制作用をもつBTNL2(Butyrophilin-like protein 2)遺伝子と本症の関与を明らかにした.また,IFNA17(Interferon A17)遺伝子の多型がIFN-αやIL-12産生亢進を通じて肉芽腫形成に関わっている可能性を示した.さらに,日本人サルコイドーシスにおける新たな疾患感受性遺伝子を同定する目的で,多施設から収集した多数検体を用いてgenome-wide association study(GWAS)を施行した.第6染色体短腕のHLAクラスⅡ領域が,日本人においても顕著な相関を示し,人種共通の疾患感受性領域であることが明らかになった.さらにHLA領域以外に新たな候補遺伝子領域を見出した.

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© 2013 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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