日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
症例報告
心病変以外のサルコイドーシス診断後に重症不整脈を発症した心臓サルコイドーシス4症例の検討
田中 葵一門 和哉川村 宏大吉岡 正一本田 俊弘中尾 浩一菅 守隆
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 34 巻 1 号 p. 75-78

詳細
抄録

【要旨】心臓サルコイドーシス(以下,心病変)は,サルコイドーシスの予後不良因子であり,発症予測と早期診断が困難である.心外病変でのサルコイドーシスの確定診断後,当院循環器科が心病変を診断した4症例の臨床的特徴を検討した.全例副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)での治療歴はなく,サルコイドーシス診断から心病変の発症までは,5年以上の経過であった(平均値7.5年).発症時の心電図所見は,1例以外は,心室頻拍や完全房室ブロック,心室細動といった重症不整脈で,心肺停止症例もあった.また,サルコイドーシス診断時の胸郭内病変が確認できた2症例は,心病変の発症時も変化はなく,安定して残存していた.サルコイドーシスの心病変は,確定診断後のいかなる時期にも合併する可能性があり,たとえ胸郭内病変が5年以上安定していても,重症不整脈で発症する可能性があると考えられた.また,現在の診断の手引きでは,偽陰性が存在し,心病変を常に念頭においた経過観察が必要であると考えられた.[

著者関連情報
© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事
feedback
Top