日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム1
他科にも知ってほしい各科領域臓器病変
宮﨑 英士山口 哲生
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2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 26

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抄録

 サルコイドーシスは,原因不明の全身性(多臓器性)肉芽腫性疾患である.診断に際しての基本は,⑴非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認すること,⑵各臓器に特徴的な臨床所見を認めること,そして⑶サルコイドーシスに頻度の高い検査所見を認めることである.サルコイドーシスは多臓器性疾患であることから,診断には少なくとも2臓器に肉芽腫性炎症の存在を認めることが必要だとの見解もあるが,WASOGは,「一つの臓器病変において組織学的に類上皮細胞肉芽腫が確認できた場合,ほかの臓器でサルコイドーシスに特徴的な所見が得られれば,生検せずとも臓器病変として良いとする臓器評価基準」を示している(Sarcoidosis Vasculitis and Diff use Lung Diseases2014; 31; 19︲27).本邦では「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き-2006」が広く活用されてきたが,新たな診断・管理技術の進歩,重症度評価を含めた「サルコイドーシス診療の手引き(仮)」への改訂作業が行われようとしている.そのようななか,この機会に多臓器性疾患であるサルコイドーシスを総合的に診断・治療・管理していく能力を向上させるために,本シンポジウムを企画した. 今回のシンポジウムでは,眼科領域,皮膚科領域,神経領域,および呼吸器領域を取り上げ(循環器領域は別シンポジウムで議論),臓器における本症に特徴的な症候,所見,および検査成績について解説いただき,さらに,治療適応と管理をしていく上で注意すべき点等について実地臨床に即して,ご講演いただくこととしている.加えて,呼吸器領域に関しては,「他臓器においてサルコイドーシスに特徴的な所見が得られた場合,組織診断を得る上での生検の有用性,すなわち肉芽腫の検出率」について,特に,EBUSの成績を中心に解説いただく予定である.本シンポジウムでは演者の先生方に教育的な講演をお願いしており,「参加者が専門外の臓器における診断に資する特徴的所見を理解し,それぞれの臓器病変の治療と管理のポイント,さらに予後について理解を深める」ことをアウトカムとしたいと考えている.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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