日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム1
サルコイドーシス眼病変
石原 麻美
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2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 27

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抄録

 サルコイドーシスは多臓器疾患であるが,2004年度の全国調査によると,眼病変は肺病変に 次いで多く,発見時の自覚症状の中では眼症状が最も多い.自覚症状としては霧視,飛蚊症, 視力低下などが多いが,加齢のためと考え眼科受診が遅れることで,初診時に様々な眼合併症を 伴っていることがある.一方で,自覚症状がほとんどなく,他科からの併診で眼病変が発見 されることもある.眼は自覚症状が出やすい臓器ではあるが,これらの事情から発見された時に はすでに視機能低下が進んでおり,QOV(Quality of Vision)やQOL(Quality of Life)の低下を きたしている場合も少なくない.  サルコイドーシスは本邦のぶどう膜炎の原因疾患の中で最も多く,約11%を占めている.サルコイ ドーシス眼病変の特徴として,1.ぶどう膜を主とした眼内炎症(ぶどう膜炎)を呈する 2.軽快・ 増悪を繰り返しながら,数年〜十数年以上の慢性の経過をとることが多い 3.長期に続く炎症の ため,続発緑内障や黄斑病変(黄斑浮腫,黄斑上膜)などの眼合併症をきたし,視機能低下を招く ことが多い 4.「眼サルコイドーシス診断の手引き」に記載されている眼所見は,サルコイドー シス以外のぶどう膜炎でもみられる所見であり,6項目中2項目以上有していてもサルコイドーシス 眼病変と診断することはできない 5.眼内組織の生検は行わないため,全身検査所見,他臓器サル コイドーシス病変があってはじめて診断が可能になる 6.全身検査所見を満たさない,または 他臓器病変がないために診断がつかない「サルコイドーシス疑い例」が,原因不明のぶどう膜炎の 最多を占めている 7.眼所見だけでは結核,悪性リンパ腫などの他疾患との鑑別が困難な場合が ある 8.ステロイド剤に良く反応するが,一部にステロイド抵抗症例が存在する 9.治療のオプ ションとして,硝子体手術をはじめとした外科的治療を選択する症例が増えてきている,などが あげられる.  慢性の眼内炎症によるQOV,QOLの低下を防ぐためには,定期的な眼科通院・加療が大切で ある.他科の先生方にも眼科併診の必要性を理解していただけるように,本講演では特徴的な 眼所見や眼合併症,鑑別疾患,最近の治療など,サルコイドーシス眼病変についてわかりやすく 解説したいと考えている.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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