日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム1
サルコイドーシス病理診断におけるコンベックス走査式超音波気管支ガイド 下針生検(endobronchial ultrasonography guided transbronchial needle aspiration (EBUS︲TBNA))の現状
北村 淳史滝口 裕一巽 浩一郎
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2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 30

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抄録

 肺サルコイドーシスの病理学的診断には,TBLBによる確定診断とBALによる活動性診断などが ある.しかしTBLBの診断率は40〜90%と報告により様々で,一定の確率で生じる気胸や出血の 合併症は避けられない.また腫大した縦隔リンパ節に対する診断アプローチは,全身麻酔を要する 縦隔鏡や胸腔鏡となり,診断率は90%以上と高いものの,その侵襲性から施行される症例は限定的 であった.  EBUS︲TBNAは,2004年に臨床応用例が報告され,その後の保険収載もあり,近年急速に日常 臨床に普及している.局所麻酔下で透視室内において,リアルタイムに気管支内腔から縦隔リンパ 節を描出し,縦隔の大血管を避けてリンパ節を穿刺する手技である.低侵襲ながらも縦隔鏡に匹敵 する高精度な質的診断法であり,細胞診検体と同時に組織検体も採取可能である.近年肺癌のリンパ 節ステージングやサ症の病理診断において多くの有用性が報告されている.縦隔リンパ節腫大を みとめるサ症でのEBUS︲TBNAの診断率は70-90%と報告され,従来のTBLBに比較し高率であり, 侵襲度や診断率からEBUS︲TBNAが診断アプローチとしてfi rst choiceになりつつある.  EBUS︲TBNAがサ症診断に頻用されることによる新たな課題もある.EBUS︲TBNAを行えば BALやTBLBは省略可能か,細胞診検体のみでも確定診断は可能か,22G針と21G針の診断率の 違いはどうか,などである.  我々の検討ではサ症が疑われた72例のうち52例 (72.2%) でEBUS︲TBNAで組織診断が可能で あった.診断がつかなかった20例のうち7例でTBLBで組織診断が可能であったが,その7例中 すべてEBUS︲TBNAの組織検体採取が不十分な症例であった.EBUS︲TBNAで組織検体が十分に 採取できて診断に耐えうる検体が提出できた場合は,TBLBは場合によっては省略可能なのでは ないだろうか.  以上のような実臨床に沿った疑問点やそれに対する最新のエビデンスについて議論したい.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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