日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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ミニシンポジウム
心臓サルコイドーシスを巡る最近の進歩
寺﨑 文生矢崎 善一
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2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 38

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抄録

 心臓サルコイドーシス(以下心サ症)の診断はしばしば難しいことがあり,現在,心サ症の 診断の手引きを含めてサ症の診断基準を改訂中である.また,日本循環器学会により,心サ症の 診断ガイドラインが作成中である.  近年,循環器領域にMRIやFDG PETが導入され,本症においても早期診断への有用性が期待 されている.しかしながら,MRIにおいてはT2強調画像の評価が,FDG PETにおいては心筋への 生理的集積の存在が問題となっている.特にFDG PETについては,撮像条件や前処置,陽性所見の 統一などがなされていなかったため,2013年に日本心臓核医学会によって心サ症のPET診断の ガイドラインがまとめられた.心サ症の治療はEBMに基づいた心不全や不整脈治療と免疫抑制 療法に分けられる.本症では高度房室ブロックに対するペースメーカー治療のみならず,心室性 不整脈による突然死予防や重症心不全に対する心室再同期療法などに対する特殊なペースメーカー 治療も積極的に導入されている.免疫抑制療法の主体は現在でもステロイドであるが,ステロイドの 投与量を調節するためのマーカーや画像診断は確立されていない.ステロイド以外の免疫抑制薬と してメトトレキサート(MTX)が使用され,steroid-sparing eff ectが期待される.本症に対する 免疫抑制療法の確固たるエビデンスは確立されておらず,他の免疫抑制薬については症例報告が 散見されるのみである.  今回のミニシンポジウムでは,心サ症のエキスパートにお集まりいただき,画像診断,不整脈, 免疫抑制療法の各領域から最新の知見や新たな考え方についてご講演いただく.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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