日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
ミニシンポジウム
心臓サルコイドーシスをめぐる最近の進歩
草野 研吾
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 40

詳細
抄録

 サルコイドーシスは,全身性の肉芽腫性疾患であり侵される臓器は多岐に渡るが,古くから 心病変合併の有無が生命予後を規定する最も重要な因子であるとされている.同程度の心機能低下 でも拡張型心筋症よりも圧倒的に心サルコイドーシスの予後が不良であることは,心サルコイドー シスでは,高度房室ブロック,心室頻拍などの重症致死性不整脈の合併が重要であることを示唆 する.房室ブロックに対してはペースメーカが選択されるが,心室頻拍に対しては,選択される 内科的治療として,植込み型除細動器(ICD),抗不整脈薬,カテーテルアブレーション,心機能 低下例では除細動機能付きペースメーカ(CRTD)の4つが選択される.除細動器(ICD/CRTD)を 植え込んだ拡張型心筋症との比較を行った検討では,拡張型心筋症に比べ,心サルコイドーシス では再発が多く,また除細動作動回数も圧倒的に多いことがわかり,突然死予防としての除細動器 埋込み術は重要であるが,作動回数の減少やQOL上昇を図るためにはのみでは不十分であることが 伺えた.従って,除細動器を植え込んだ上で抗不整脈薬やカテーテルアブレーションなどの追加 治療が重要であると考えられる.しかしアブレーションの問題点として,心サルコイドーシスに 合併した心室頻拍に対するアブレーションの長期成績をみた近年の報告では,やはり他の疾患に 比べ圧倒的に再発が多い.原因として,進行性の病気であること,アプローチしにくい外膜側に 心室頻拍のリエントリー回路があることが多いこと,多発性で左室だけでなく右室にも病変がある ことが多いことなどがあげられる.  今回のシンポジウムでは,近年のデバイス,アブレーション治療の進歩を紹介し,心サルコイドー シスに合併した不整脈への最新のアプローチをご紹介する.

著者関連情報
© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top