日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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特別報告
サルコイドーシスの新たな診断基準と重症度分類
四十坊 典晴山口 哲生
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2014 年 34 巻 Suppl1 号 p. 43

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抄録

 平成24年より日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会の診断基準改定委員会を中心に改訂に 向けて取り組んできた.“サルコイドーシスは同時性あるいは異時性に全身の諸臓器(多臓器性)に 乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認める原因不明の疾患であり,Tヘルパー1反応の亢進が 存在する”と定義し,新しい診断基準では①各臓器の診断の手引きの問題点と包括診断基準としての 意義について,②全身反応を示す検査項目について,再検討し,また,サルコイドーシスに重症度 分類を導入することとした.  サルコイドーシスの臓器病変として強く疑う所見を再検討し,心臓,眼病変,呼吸器系病変の 3つとし,呼吸器系病変の強く疑える所見として,両側肺門リンパ節腫脹(BHL)とリンパ路に 沿った肺病変とした.また,肺病変に関しては,“画像上典型的ではない肺病変,気管支病変,胸膜 病変では組織学的に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫の証明があった場合にサルコイドー シスを強く示唆する臨床所見とする” 注釈を加えた.  その他の臓器に関しては“その他の臓器病変とサルコイドーシスの関連病態に伴うその他の臓器 病変”として15項目に分けて記載した.15項目に関しては,各臓器の診断の手引きとはせず,組織学 的に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めた場合にその当該臓器を,サルコイドーシスを 強く示唆する臓器病変として扱えるようにした.  組織採取が困難な臓器病変に関して,他の臓器において組織診断させていない場合の取り扱いに 関しては今後の課題である.  また,複数臓器病変を診断時に必要としたことに関して,同時期に複数の病変が出現する場合は 診断に問題はないが,診断から10年以内に新たに臓器病変が出現する可能性があり,2つ以上の 臓器に臨床症状が現れるのがかなり遅れて出現する場合(異時性)がある.診断基準は異時性に 臓器病変を出現する可能性も考慮できるものとした.  全身反応を示す検査項目に関しては,組織学的に診断されたサルコイドーシス症例を用い, Tヘルパー1反応の亢進の関連する検査所見の中で陽性率の高い項目の抽出をおこなった.また, 成人における結核の既感染率が著しく低下している現在の本邦において,ツベルクリン陰性の 意義を検討した.また,心サルコイドーシスに関して,保険適応があるFDG︲PETもガリウムシン チグラフィーと併記し,心サルコイドーシスの診断の可能性が拡がるようにした.  全身性疾患であるサルコイドーシスの重症度分類に関しては臓器病変数,治療の必要性の有無, サルコイドーシスに関連した各種臓器の身体障害の認定の程度をスコアー化して行うこととした.  詳細に関しては当日,新しいサルコイドーシスの診断基準と重症度分類として報告する.

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© 2014 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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