日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
ステロイド内服で治療し病理組織学的所見の経時的変化を確認し得た局面型皮膚サルコイドーシスの1例
三井田 博
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2015 年 35 巻 1 号 p. 79-84

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抄録

症例は37歳,男性.肺病変とACE値の上昇を認め,四肢,体幹に紅褐色調の局面がみられたため当院内科より当科に紹介された.右上腕の局面より皮膚生検し,真皮上層から脂肪織上層にかけてシート状に分布する類上皮細胞肉芽腫を確認し,サルコイドーシスと診断した.患者が皮疹の消退を強く希望し,ステロイド外用やミノサイクリン,ACE阻害薬の内服を試みたが無効のため,プレドニゾロン(PSL)0.5 mg/kg/日で開始した.PSLを漸減しPSL 25 mg/日と7.5 mg/日内服下でそれぞれ皮膚生検を施行したところ,類上皮細胞肉芽腫は著減していたが残存していた.皮膚病変の完全消退を目的としたステロイドの全身投与は慎重に適応すべきであると思われた.一方で1年以上ステロイドを内服しても類上皮細胞肉芽腫が残存している可能性が示唆され,他臓器病変に対して全身投与したステロイドの漸減・中止は慎重に行われるべきと思われた.

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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