日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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一般演題:口演1
サルコイドーシスとの鑑別が問題となった結核症の一例
川端 宏樹中⻄ 正典北市 正則
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2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 54-3

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抄録

症例は 33 歳、女性。4 か月前に第 1 子を出産していた。1 か月前 から発熱・咳嗽が続いていたため、紹介医を受診した。胸部レン トゲンで異常陰影を指摘され、当科紹介となった。胸部 CT では 両肺にびまん性にランダムな分布を示す小結節影が無数に認めら れた。T-SPOT 陽性であり結核治療歴もなかったことから、活動 性結核を疑い気管支鏡検査を施行した。経気管支肺生検では、乾 酪壊死を伴わない類上皮肉芽腫が認められたが、培養及び TB-PCR が陰性であったため、結核感染は証明できなかった。ま た、血清中の ACE や S-IL2R が高値であり、サルコイドーシスの 診断基準を満たしていたため、結核症との鑑別が困難であった。 後日、後腹膜膿瘍や右関節滑膜など複数の臓器で結核菌培養陽性、 TB-PCR 陽性が判明し、結核症と診断して抗結核治療を開始した。 今回の症例は、結核症でありながら、血清中の ACE 高値や S-IL2R 高値などが認められ、また組織像もサルコイドーシスと類似して いた。サルコイドーシスの病態を考える上で興味深い症例と考え られたため、文献的考察を交えて報告する。

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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