日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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一般演題:口演3
非ステロイド治療下における心サルコイドーシスの自然歴
小板橋 俊美猪又 孝元甲斐田 豊二鍋田 健石井 俊輔前川 恵美阿古 潤哉
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2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 58-4

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抄録

【背景】心病変は予後規定因子であり、心サルコイドーシス(CS) では診断と同時にステロイド治療が開始されることが多く、自然 経過は明らかでない。 【方法と結果】当院で CS と診断され、かつステロイド治療が施 行されなかった期間を観察しえた 6 症例の経過を解析した。12 例で、自然寛解を示唆する炎症活動性指標とリンクした左室壁運 動異常の変動を認めた。24 例で器質的機能的異常の進行を認め た。そのうち初診時に炎症活動性が高く著明な壁肥厚を認めた 1 例では 3 年の経過で劇的な壁厚の菲薄化と収縮能の低下を認めた (図)。32 例で心臓手術前後の短期間で器質的機能的異常の進行 を認めた。 【結語】CS の治療は、心臓の異常に基づく心病態への治療と、サ ルコイドーシスの炎症活動性へのステロイド治療に大別される。 後者において、心病変でも自然寛解と再燃を繰り返すとすれば、 炎症活動性がない時にはステロイド治療は不要となる。一方、炎 症活動性の強い時には劇的な器質的機能的変化をきたし得る。ま た、手術侵襲は CS の病態を悪化させる可能性もありステロイド 導入時期は慎重に検討すべきである。CS の自然歴の解明は、適切 なステロイド治療の確立に貢献し得る。初診時 3 年後

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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