日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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一般演題:口演4
体幹に生じた annular elastolytic giant cell granuloma の 1 例
原 真理子土井 直孝古川 福実金澤 伸雄
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2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 60-3

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抄録

49 歳女性.2013 年 8 月頃より腹部に軽度の痒みを伴う環状の皮 疹が出現した.近医皮膚科で処方されたステロイド外用剤を外用 するも,徐々に遠心性に拡大し皮疹の数も増加してきたため, 2014 年 5 月に当科を受診した.当科初診時,腹部から両腰部にか けて,やや堤防状に隆起し浸潤を触れる,⻑径 数 cm から 10cm を超える大小の環状紅色皮疹を複数認めた.環状皮疹の内側はや や萎縮性で淡い色素沈着を伴った.前医での皮膚生検では膠原線 維の増生と多核巨細胞を伴うリンパ球,好酸球の集簇性浸潤を散 在性に認めたが,壊死やムチン沈着は認めなかった.サルコイド ーシスが疑われたが,血液検査や全身検索では高脂血症のほかに は特に異常を認めなかった.一部の巨細胞にアステロイド小体を 認め,エラスチカ・ワンギーソン染色にて黑染する断裂した弾性 線維の貪食像を多数認めたため,annular elastolytic giant cell granuloma(AEGCG)と診断した.トラニラストの内服を追加 したところ皮疹の拡大はやや軽快したが, 2015 年 1 月頃より再 度増大傾向にある.ステロイド局所注射は有効だが、萎縮を残し た.AEGCG は露光部に生じることが特徴とされるが,本邦では 体幹など非露光部に生じたものが多く報告されている.

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© 2015 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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