日本ペインクリニック学会誌
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症例
ネオビタカイン®の偶発的クモ膜下投与で長時間の麻痺を生じた2症例
牧野 朝子細川 豊史大西 佳子大森 美佐子
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2008 年 15 巻 1 号 p. 35-37

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抄録

ネオビタカイン®はジブカインの配合薬である.ネオビタカインが偶発的にクモ膜下投与となり,長時間の麻痺を生じた2症例を経験した.症例1は65歳の男性で,腰椎椎間板ヘルニアの術後に再発した腰下肢痛のために,右第4/5腰椎椎間関節部の圧痛点にネオビタカイン5 mlとベタメタゾン2 mgでトリガーポイント注射を行い,2分後に1%メピバカイン10 mlで仙骨硬膜外ブロックを行った.いずれも薬液注入前の吸引テストで脳脊髄液の逆流はなかった.患者は仙骨硬膜外ブロック施行中に両下肢の温感を訴え,10分後には両下肢の運動麻痺を生じ,ネオビタカインのクモ膜下投与が疑われた.16時間後に運動麻痺は完全に消失した.症例2は複合性局所疼痛症候群の25歳の女性で,左下腿の痛みに対し,第3/4腰椎間より吸引テスト陰性を確認後,ネオビタカイン5 mlで硬膜外ブロックを行ったところ,数分後に両下肢の運動麻痺が生じた.感覚鈍麻域はTh 8以下で,11時間後に運動麻痺は完全に消失した.

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© 2008 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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