日本ペインクリニック学会誌
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症例
アミトリプチリンとパロキセチンでともにセロトニン症候群が生じたと考えられた1例
足立 裕史山口 昌一中島 芳樹五十嵐 寛佐藤 重仁
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2009 年 16 巻 1 号 p. 23-25

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抄録

帯状疱疹後神経痛に対する治療で服用したアミトリプチリンとパロキセチンで,ともにセロトニン症候群が発現したと考えられた78歳の男性を報告する.帯状疱疹を75歳時に発症し,帯状疱疹後神経痛に移行したので,星状神経節ブロックにアミトリプチリン30 mg/日を併用した.アミトリプチリンの服用開始14日後に精神症状と振戦が発現した.アミトリプチリンの中止3日後に振戦は消失した.アミトリプチリン中止7日後からパロキセチン(20 mg/日)を服用し始め,維持した.今回の受診の3日前に感冒様症状が発現し,両上肢を中心とした上半身の震え,ミオクローヌス,深部腱反射の亢進が発現した.パロキセチンを中止し,6日後に振戦,ミオクローヌスは消失した.脳脊髄液に異常はなく,臨床経過からセロトニン症候群の可能性が高いと判断された.アミトリプチリンとパロキセチンは痛みの治療薬として使用されることが多く,注意が必要と考えられた.

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© 2009 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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