日本ペインクリニック学会誌
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症例
腰痛と右鼠径部痛が初発であった胸髄腫瘍の1症例
梶山 誠司中川 五男古賀 知道岡田 泰典日高 昌三
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キーワード: 腰痛症, 脊髄腫瘍, MRI
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2010 年 17 巻 2 号 p. 157-159

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抄録

腰痛の原因が胸髄腫瘍であった1症例を報告する.62歳の女性で,腰痛と右鼠径部痛で治療を受けていたが,痛みは軽減しなかった.その後,右下肢の感覚障害が出現した.当科の初診時に明らかな間歇跛行はなく,両側のアキレス腱反射は軽度亢進していた.右下肢の運動障害があり,脱力が進行性であった.MRIでTh10の高さの脊髄内にガドリニウムで造影される結節状病変があった.手術で摘出した胸髄腫瘍の病理所見は肉芽腫であった.神経学的異常が進行性の腰痛では,脊髄腫瘍などの器質疾患の有無を判断するために,MRI等の画像診断を積極的に行うべきである.

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© 2010 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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