日本ペインクリニック学会誌
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原著
手術後患者における持続硬膜外モルヒネ鎮痛の副作用
酒井 一介澄川 耕二
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2012 年 19 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

【目的】われわれは持続硬膜外モルヒネ鎮痛の副作用を後ろ向きに検討した.【方法】対象は開胸または開腹の予定手術を受けた患者227名とした.硬膜外チューブを挿入した後に局所麻酔薬を注入し,効果を確認した後に全身麻酔を行った.硬膜外腔には手術開始前にモルヒネ2-4 mgを1%メピバカイン2 mlとともに投与し,引き続き1日あたりモルヒネ2-4 mgを局所麻酔薬12-24 mlとともに投与した.手術翌日の診療録に記載された患者にとって不快な症状を,他の原因が明らかなものを除外し,硬膜外モルヒネの副作用とした.口渇,尿閉,便秘は除外した.【結果】頻度の多い訴えは,悪心・嘔吐(18.5%),掻痒(16.3%)であった.つづいて,ふらつき・めまい(9.7%),幻覚・錯乱(7.9%),眠気(7.0%),発汗(3.1%)であった.まれな合併症としてミオクローヌス(0.4%)がみられた.硬膜外モルヒネによると判断された呼吸抑制はなかった.硬膜外モルヒネ鎮痛の中止は4.4%で,その原因は,血圧低下3症例,悪心3症例,掻痒2症例,めまい1症例,不穏1症例であった.結論:硬膜外モルヒネ鎮痛の主な副作用は悪心・嘔吐,掻痒,ふらつき・めまいである.われわれの症例では,呼吸抑制はなかった.

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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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