日本ペインクリニック学会誌
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症例
横行結腸癌の仙骨浸潤による痛みにnegative in-out flowによる閉鎖循環下骨盤内抗がん薬灌流療法が有効であった1症例
岡部 格佐藤 千代荒井 雅江幸田 修典河原 裕泰鈴木 規仁中西 一浩村田 智坂本 篤裕
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2012 年 19 巻 1 号 p. 52-55

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抄録

Negative-balance isolated pelvic(NIPP)による閉鎖循環下骨盤内抗がん薬灌流療法は抗がん薬を動脈内に注入する新しい治療法で,血管内に留置したバルーンカテーテルとターニケットにより骨盤部に閉鎖循環を作り,骨盤内に限局させて高容量の抗がん薬を投与し,抗腫瘍効果を高める方法である.今回,横行結腸癌の仙骨浸潤による痛みがNIPP後に軽減した症例を報告する.患者は51歳の男性で,横行結腸癌の局所再発に対し,放射線照射と化学療法を施行したが腫瘍は増大していた.腫瘍の仙骨浸潤による痛みがあり,高容量のモルヒネの持続静注にもかかわらず,痛みは数値評価スケール(NRS)で9であった.NIPPを2回施行後に,痛みはNRSで1~2に減少した.従来の化学療法で腫瘍が縮小せず,通常の薬物療法でも鎮痛が得られない症例にはNIPPが痛みを軽減する一手段になりうると思われた.

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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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