日本ペインクリニック学会誌
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症例
クロナゼパムが著効した小児複合性局所疼痛症候群の1例
小島 研太郎田口 仁士中尾 みどり増澤 宗洋新宮 興
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2013 年 20 巻 1 号 p. 36-39

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抄録

患者は10歳の男児で,左足関節の捻挫に対して,シーネ固定にて保存的に加療されていた.しかし,左足関節部の痛みが持続し,2週間後には左下肢全体に痛みが拡大,増強して歩行障害が出現した.強い左下肢痛のためにうめき声をあげており,診察は困難であった.左下肢の自発痛,アロディニア,左足関節の拘縮,および足趾皮膚深部温の差(左>右)を認め,左下肢複合性局所疼痛症候群(CRPS)と診断した.神経ブロック療法の施行は困難と考え,クロナゼパム0.5 mg/日の内服治療を開始した.投与1週間後にはアロディニア·自発痛は改善せず,疼痛範囲がさらに左下腹部まで拡大した.クロナゼパムを1.2 mg/日まで増量したところ,2週間後にはアロディニアと自発痛が減弱し,4週間後にはほとんどみられなくなった.痛みの改善とともにリハビリテーションを順調に施行できるようになり,歩行が可能となった.そこで,クロナゼパムを0.2 mgずつ減量して初診から7週間で投薬を終了し,その1週間後に治癒と判断した.小児CRPSの病態および症状に対して,クロナゼパムは高い有用性をもつ可能性があると考えられる.

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© 2013 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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