日本ペインクリニック学会誌
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症例
patient-controlled-analgesiaによるオピオイド投与により激しい腹痛を緩和しえた小児Churg-Strauss症候群の1症例
佐藤 哲観蝦名 正子遠瀬 龍二島田 恵子廣田 和美
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2013 年 20 巻 1 号 p. 40-43

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抄録

Churg-Strauss症候群(CSS)は,末梢血好酸球増多を伴って血管炎を生じ,多臓器の症状を呈する疾患である.CSS小児例の報告は少ないが,今回われわれは,腹痛を主訴とした小児CSSの疼痛治療を経験したので報告する.患者は10歳男児,初診時の身長134 cm,体重22 kg.200X年7月両下肢の痛み,発熱,喘鳴が出現した.白血球および好酸球増加とCRP高値,心拡大を認め,四肢のしびれと痛みに加えて腹痛も出現した.8月に当院小児科へ転入院し,精査の結果CSSと診断され,9月に当科紹介となった.激しい腹痛に対してPCAポンプを用いて複方オキシコドン注射薬を投与し継続的なタイトレーションを行った.経過中,オキシコドン注射液として最大で1日量150 mgを投与し,CSSに対する免疫抑制療法が徐々に奏効し,血液データの改善とともに腹痛も軽減して全身状態も良好となり,オキシコドンを漸減して12月には投与を終了した.オキシコドンのきめ細かいタイトレーションと,PCAを用いた突出痛への対応により,4カ月間に及んだ腹痛を緩和しえた.小児においても積極的なオキシコドンの使用はCSSにおける腹痛に有効であった.

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© 2013 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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