日本ペインクリニック学会誌
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症例
ガバペンチンとデュロキセチンの併用が有効であった硬膜内髄外腫瘍症例の治療経験
景山 めぐみ濱口 眞輔松澤 理恵東 奈央子池田 知史山口 重樹
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2013 年 20 巻 1 号 p. 56-59

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抄録

プレガバリンを含む多くの鎮痛補助薬やオピオイドによる薬物療法が無効であったが,抗痙攣薬であるガバペンチンと抗うつ薬であるデュロキセチンの併用によって慢性痛の軽減がみられた,硬膜内髄外腫瘍症例の治療を経験した.症例は左仙腸関節周囲の痛みと両側の臀部痛,大腿背面の鈍痛を訴える42歳の男性で,L3椎体レベルの脊髄背側に硬膜内髄外腫瘍がみられたが,腫瘍病変の部位や画像診断と患者の訴える神経所見が一致しないために,手術よりも痛みの治療が優先されてきた.当院での加療以前に複数の病院で各種鎮痛補助薬やオピオイド,神経ブロックによる痛みの治療がなされたが,痛みの軽減はみられなかった.多くの薬物の内服歴があったために過去の投薬歴を十分に確認し,ガバペンチンとデュロキセチンを投与した結果,痛みは軽減して患者のADLは向上した.難治性痛の治療で多くの鎮痛補助薬やオピオイドによる薬物療法が無効であった場合には,過去の投薬歴を再確認して鎮痛補助薬の併用を行うことが神経障害性痛の緩和に有用であると考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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