日本ペインクリニック学会誌
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原著
亜急性期の罹患部皮膚温から帯状疱疹後神経痛を予測する
堀江 太朗金井 昭文鈴木 麻葉岡本 浩嗣
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2014 年 21 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

【目的】帯状疱疹における神経障害を簡便に評価するスケールはない.今回,亜急性期(皮疹消退から発症2カ月まで)において,感覚神経障害で変化する触覚,交感神経障害で変化する皮膚温を量的に評価し,帯状疱疹後神経痛を予測できるかを検討した.【方法】亜急性期の帯状疱疹関連痛患者83人に対し,罹患皮膚の最も痛い部位と対側健常皮膚における触覚,電流知覚閾値,皮膚温を計測し,発症1年後までの痛みの強さ(numerical rating scale:NRS)と生活の質(pain self-efficacy questionnaire:PSEQ)を評価した.【結果】健側と患側で有意な皮膚温差はなかったが,皮膚温差と発症2カ月以降の最小NRS,平均NRS,最大NRS,PSEQとの間に有意な相関があった.すなわち,患側皮膚温が健側より低いほど,NRSは高く,PSEQは低かった.一方,患側は健側よりも触覚が有意に低く,電流知覚閾値が有意に高かったが,いずれの程度もNRSまたはPSEQとの間に有意な相関はなかった.【結論】亜急性期の患側皮膚温が健側よりも低いほど,帯状疱疹後神経痛の予後が悪い危険性があることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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