日本ペインクリニック学会誌
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症例
持続腕神経叢ブロックを契機とした多面的アプローチによりオピオイドを中止しえた頸椎椎弓形成術後慢性痛患者の1例
奥野 聡子山崎 恭子花田 留美川原 玲子
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2014 年 21 巻 2 号 p. 102-106

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抄録

非がん性の痛みに対するオピオイド投与が普及しているが,離脱は困難なことが多い.頸椎椎弓形成術後の頸部痛に超音波ガイド下持続腕神経叢ブロックを施行し,理学療法,家庭環境の改善を追加しオピオイドの離脱をしえた1例を報告する.症例は73歳,男性で,8年前頸椎症性頸髄症に対し椎弓形成術を施行された.術後も頸部痛は改善せず,クロナゼパム内服とブロック治療を施行した.ガバペンチン,塩酸モルヒネを追加して痛みのコントロールを行っていた.頸部痛が増悪したためオピオイドの増減やオピオイドローテーションを行ったが改善せず,希死念慮を訴えたため入院した.これを機に,妻の認知症悪化と一致して頸部痛が増悪したことが判明した.超音波ガイド下持続腕神経叢ブロックを行い,患者自己調節鎮痛法(PCA)でロピバカイン持続注入を開始し,痛みが消失したところで,オピオイド減量とリハビリを開始した.妻の一時入所施設を紹介し,自宅でのヘルパー導入も誘導した.約2週間で頸部痛は軽快したためオピオイドを漸減中止し,退院した.

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© 2014 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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