日本ペインクリニック学会誌
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症例
足趾有痛性皮膚潰瘍に対して持続坐骨神経ブロックを行い,良好な経過が得られた1症例
山本 陽子中本 達夫矢部 充英旭爪 章統寺井 岳三
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2014 年 21 巻 2 号 p. 97-101

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抄録

足趾有痛性皮膚潰瘍に持続坐骨神経ブロック(CSNB)が奏効した症例を報告する.症例は80歳,男性.主訴は両足趾の痛みと潰瘍.検査結果より末梢小動脈の攣縮性虚血によるものと考えられ,仙骨硬膜外ブロック後に一時的な効果を認めたため,痛みの強い右下肢にCSNBを施行した.0.2%レボブピバカイン4 ml/hの持続投与を開始し,痛みはvisual analogue scale 80 mmから0 mmまで改善を認めたが,足関節運動が不可となったため,濃度を漸減した.0.03%まで低下させた時点で底背屈可能となり,両足趾の鎮痛は良好で,潰瘍は痂皮化を認めた.カテーテル抜去後もプレガバリンの内服で鎮痛は良好であった.痛みによる交感神経過緊張が,もともと少なかった足趾への血流をさらに低下させ,皮膚症状の治癒を遷延させたと考えられた.下肢の難治性潰瘍に対して,CSNBは選択すべき治療法の一つになりうる.

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© 2014 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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