日本ペインクリニック学会誌
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ペインクリニック外来を受診した腰下肢痛患者における仙腸関節由来の痛みの頻度
吉川 博昭酒井 大輔洪 景都榎本 達也中村 かんな光畑 裕正
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2015 年 22 巻 4 号 p. 495-497

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抄録

【目的】仙腸関節由来の痛みの頻度は,腰下肢痛を主訴に来院した全患者の1~3割程度を占めると欧米で報告されているが,わが国での頻度に関する報告は村上らによるもの以外には見当たらない.今回,われわれはその頻度をカルテのデータから後方視的に検討した.【対象と方法】2013年1年間に腰下肢痛を主訴とした患者を対象とした.問診・理学的所見による臨床的診断で仙腸関節由来の痛みが疑われた患者に,後仙腸靱帯ブロックを行った.50%以上の痛みの緩和が得られた患者の痛みを仙腸関節由来と診断し,全腰下肢痛患者における仙腸関節由来の痛みの頻度を検討した.【結果】2013年に当科外来を受診した全腰下肢痛患者は459名であった.臨床的診断より仙腸関節が単独の責任病巣と疑われた患者100名のうち,後仙腸靱帯ブロックの効果が確認できたのは90名であった.後仙腸靱帯ブロックにより50%以上痛みが緩和し仙腸関節由来の痛みと診断した患者は55名で,腰下肢痛患者のうち仙腸関節由来の痛みの頻度は少なくとも12.0%(55/459)であった.【結語】当科外来を受診した腰下肢痛患者のうち,仙腸関節由来の痛みの頻度は少なくとも12.0%であった.

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© 2015 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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