日本ペインクリニック学会誌
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原著
わが国のがん性痛に対するインターベンショナル治療の現状
平川 奈緒美長櫓 巧村川 和重樋口 比登実井関 雅子
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2015 年 22 巻 4 号 p. 498-506

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抄録

【目的】わが国のがん性痛に対するインターベンショナル治療の現状を調べ,普及策を検討した.【方法】日本ペインクリニック学会指定研修施設(n=325)と緩和ケア・ホスピス施設(n=258)の代表者に,2011年のインターベンショナル治療の現状についてアンケート調査を行った.【結果】35.8%で回答があった.インターベンショナル治療施行施設は65.2%で,代表者が麻酔科所属の施設では76.5%,代表者が緩和ケア所属の施設では40.8%であった.施行しない理由は,薬のみで鎮痛可能28.1%,施行する医師不在25.9%,麻酔科医不足17.8%,合併症の心配9.6%,適応がわからない5.9%であった.硬膜外ブロック,トリガーポイント注射,星状神経節ブロックの施行頻度が高く,がん性痛に推奨度の高い腹腔神経叢・内臓神経ブロック,持続くも膜下ブロック,くも膜下フェノールブロックの,1年間における1施設あたりの平均施行回数は0.7~1.2回であった.【結論】インターベンショナル治療を施行していない施設は多く,とくにがん性痛に推奨度の高い治療の施行頻度が低かった.今後,インターベンショナル治療の有用性の啓蒙と教育システムの構築が必要である.

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© 2015 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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