2016 年 23 巻 4 号 p. 520-524
【目的】最近超音波(US)ガイド下星状神経節ブロック(SGB)が紹介され普及してきている.USガイド下SGBの有用性を検討するため,頬部・手掌の皮膚温変化を解析した.また,USガイド下SGB施行群でC6とC7の高さでの施行の有効性に差があるかを併せて検討した.【方法】2012年12月~2013年4月に4回以上SGBが行われた28例を,新規にSGBを施行したUSガイド下群13例計52回(US群),以前よりSGBを施行していた従来のランドマーク群15例計60回(LM群)として前向きかつ非盲目的に2群に分けた.またUS群をC6(C6群)・C7(C7群)の高さで亜群に分けた.SGB前後の両頬部,母指・小指球の皮膚温を測定,皮膚温変化を算出し解析した.【結果】皮膚温変化(℃)(平均値±標準偏差)は,US群の頬部,母指球,小指球で0.83±0.68,1.32±1.27,1.39±1.41,LM群では0.32±0.66,0.33±0.93,0.13±0.91と,有意にUS群の温度上昇が大きかった.ホルネル徴候に有意差はなかった.嗄声は有意にUS群で低かった.US群にはその他の合併症はなく,LM群で前胸部しびれが1例あった.また,C6群とC7群の比較では各部位で有意差はなかった.【結論】US群は,LM群より安全確実に施行可能である.またUS群では解剖学的理由によりC6-SGBが推奨される.