日本ペインクリニック学会誌
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症例
特発性三叉神経痛に対して直流微弱電流療法が有用であった2例
井汲 沙織山川 美樹子奥山 慎一郎高岡 誠司星 光山内 正憲
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2017 年 24 巻 2 号 p. 109-111

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抄録

特発性三叉神経痛に対して直流微弱電流療法が有用であった2例を報告する.症例1は70歳代,女性.右第2,3枝領域の三叉神経痛を訴えていた.右眼窩下神経ブロック後にふらつきを自覚したため,以降拒否感が生じてしまった.薬物療法により痛みの緩和を試みたが,奏効しなかった.直流微弱電流を用いた治療を行ったところ,劇的に痛みは軽減した.症例2は80歳代,男性.歯磨きができず極度の口腔内汚染がみられるほどの,左第2,3枝領域の激しい痛みを訴えていた.ガッセル神経節ブロックは,一度は奏効したもののその後効果を認めなかった.直流微弱電流を用いて治療を行ったところ,痛みは消失した.2例の経験ではあるが,直流微弱電流治療は,外来で簡便に施行でき,使用禁忌項目もないことを考慮すると,神経ブロックや薬物療法による痛みの管理が困難な特発性三叉神経痛に対して試みるべき選択肢の一つであると考えた.

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© 2017 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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