日本ペインクリニック学会誌
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症例
複発性帯状疱疹に対して発症早期からの神経ブロックが著効した1症例
石岡 慶己関根 利佳高田 幸昌山蔭 道明
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2017 年 24 巻 2 号 p. 130-133

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抄録

帯状疱疹は,片側の支配神経領域に皮膚病変を呈するのが一般的であるが,隣接しない複数の神経支配領域に病変が出現するものは複発性帯状疱疹と呼ばれ,きわめてまれな病態である.強い急性痛を伴う複発性帯状疱疹に対し,発症早期から神経ブロックを行い良好な経過を得たので報告する.症例は60代の男性.発症1週間前より右膝部の痛みを自覚し,その後右膝および臀部に皮疹が出現した.複発性帯状疱疹の診断で皮膚科入院となったが,激しい痛みが持続したため当院ペインクリニックに紹介となった.右膝 (L3領域) に軽度の皮疹があり,左臀部 (S3領域) に正中を越えて広がる重度の皮疹がみられた.痛みは右膝部に強かったが,臀部には痛みはないとした.強い急性痛を伴う右L3領域に加え,重度の皮疹を伴う左S3領域も帯状疱疹後神経痛への移行が危惧された.早期より神経ブロックを行ったところ,痛みは速やかに軽減し良好な経過をたどった.強い急性痛を伴う複発性帯状疱疹であったが,痛みの程度と皮疹の重症度は一致しなかった.

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© 2017 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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