日本ペインクリニック学会誌
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症例
常染色体優性多発嚢胞腎および肝嚢胞の痛みに対してオピオイド治療を開始した1例
藤井 知昭三浦 基嗣長谷 徹太郎敦賀 健吉森本 裕二
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2017 年 24 巻 4 号 p. 349-352

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抄録

常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)患者の多くはなんらかの痛みを有しており,その管理法として段階的治療が提唱されている.今回,多発肝嚢胞を合併したADPKDに伴う痛みの症例を経験した.非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンよりもトラマドールが有効であったことと,低濃度局所麻酔薬を用いた硬膜外ブロックにより痛みが軽減したこと,リドカイン全身投与が無効であったことから,内臓由来の痛みが主であると判断した.腹腔神経叢ブロックの有効性も検討したうえで,オピオイド治療を開始することにより,良好に管理しえた.オピオイド鎮痛薬はバソプレシン作用増強による腎嚢胞増大の可能性に注意する必要があるが,内臓由来の痛みに対しては有効と考えられる.

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© 2017 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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