2023 年 30 巻 9 号 p. 223-226
腰下肢痛症例でMRI検査にて硬膜外腔高信号を認めることがある.このような症例に,生理食塩水による硬膜外腔癒着剥離術(PEA)を行った症例を経験した.腰下肢痛で歩行困難となった症例にMRI検査を行ったところ,硬膜外腔に高信号を認めた.疼痛は,しびれなどの馬尾型神経障害と神経根型神経障害が混在した.そこで硬膜外腔の炎症による癒着と考え生理食塩水によるPEAを行った.腰部脊柱管狭窄症の所見が重症でなくても強い腰下肢痛が出現することがあり,PEAが有効な治療法と考えられる.