日本ペインクリニック学会誌
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脊髄MRIが治療前後の髄液漏出判定に有用であった頭蓋内硬膜下血腫を伴った硬膜穿刺後頭痛の1例
南 絵里子石川 慎一増田 恵里香上川 竜生福永 智栄
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論文ID: 16-0051

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抄録

硬膜穿刺後頭痛(postdural puncture headache:PDPH)における画像診断の報告は散見されるが,髄液漏出を治療前後で評価した報告はない.脊髄MRIで髄液漏出を確認し,硬膜外自家血注入(epiduralblood patch:EBP)前後の変化を評価した,頭蓋内硬膜下血腫を伴ったPDPHの1例を報告する.症例は32歳,女性,帝王切開時の硬膜外麻酔中に17G Touhy針で偶発的硬膜穿刺となり,脊髄くも膜下麻酔のみで麻酔管理を行った.翌日より起立性頭痛と上肢痛を訴えた.術後4日目の単純脊髄MRI T2強調脂肪抑制で下部胸椎から仙骨にわたる硬膜外腔に水信号病変が示され,髄液漏出と診断した.続いて脳MRIで両側硬膜下血腫が示された.術後12日目にEBPを施行し,頭痛と血腫は改善して術後20日目に患者は退院した.退院約1カ月後に一時的な血腫増大がみられたが,脊髄MRIで硬膜外水信号の消失を認め経過観察とした.約2カ月後に硬膜下血腫は自然消退した.EBP治療前後の髄液漏出を評価できたPDPHの1例を経験した.髄液漏出診断と治療効果判定における脊髄MRIの有用性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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