日本ペインクリニック学会誌
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外傷による左上肢切断後の幻肢痛に対しミルタザピンが有効であった1例
堀川 英世服部 瑞樹竹村 佳記日比 大亮山崎 光章
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論文ID: 19-0034

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抄録

症例は47歳,男性.仕事中の事故により左上腕を切断した.切断後7日目より幻肢痛を認めるようになり,NRS(numerical rating scale)は5であった.入院中に,持続腕神経叢ブロックと薬物療法を開始した.ブロック施行中はNRSが2に低下したが,ブロック中止後痛みはもとに戻った.ミルタザピンを15 mg 1日1回投与から開始し,その後1日2回投与に増量した.ミルタザピン内服後約8時間はNRSが3に低下した.他の薬物は内服しても痛みの改善を認めなかった.ミルタザピンは,他の抗うつ薬の作用と異なり,α2アドレナリン受容体を拮抗しノルアドレナリンとセロトニンを遊離するという特異な作用機序をもつ.難治性の幻肢痛に対し,ミルタザピンは効果が期待できる可能性があり,さらなる検証が望まれる.

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