日本ペインクリニック学会誌
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星状神経節の解剖
十時 忠秀森本 正敏谷口 良雄平川 奈緒美谷口 妙子峯田 洋子加藤 民哉原野 清
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1994 年 1 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

(1) 遺体で星状神経節の位置を肉眼解剖学的に検討したところ, 大部分の例で, 第1胸椎の高さで肋骨頸部に位置していた.
(2) 星状神経節節前線維の起始細胞は第1胸髄から第10胸髄まで認められた.
(3) 星状神経節の節後線維が分布する皮膚領域は, C3~T12で, 最も多く分布している領域はC6~T5であった.
(4) 心臓における交感神経支配は, 両側性で, 中頸神経節の関与が最も多く, 星状神経節の遠心性線維は, 主に洞房結節, 心房に終止していた.
洞房結節に至る遠心性線維は, 右の中頸神経節および星状神経節からの方が多く, 右の星状神経節ブロックの方が, 左のブロックよりも心拍数, 心リズムに与える影響が多いと思われた.
(5) 内頸および外頸動脈には, 星状神経節の節後線維は分布しておらず, 主に, 上頸神経節の節後線維が分布していた.
(6) 上腕骨の骨髄には, 星状神経節の節後線維が多数分布していることがわかった.
(7) 星状神経節には感覚神経が投射していることがわかった.
(8) 上頸神経節, 中頸神経節, 星状神経節には, 相互投射があることがわかった.
(9) C6-SGBは, 上頸, 中頸神経節ブロックが適応となる顔面, 頭部の疾患に, C7-SGBは, 上肢の交感神経遮断が必要な疾患に行った方がよいと考えた.

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