日本ペインクリニック学会誌
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神経血管圧迫症候群 (三叉神経痛及び顔面痙攣) における責任血管の同定
SPGR-MRI及び3D-TOF-MRAによる検討
丹羽 義和唐澤 秀武塩谷 正弘大瀬戸 清茂長沼 芳和大野 健次野村 聡子多久島 匡登寄川 淳河嶋 亨有村 聡美
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キーワード: 三叉神経痛, 顔面痙攣
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1994 年 1 巻 3 号 p. 396-403

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抄録

目的: 三叉神経痛や顔面痙攣が血管による神経の圧迫で発症すると報告されて以来, 神経血管減圧術 (Microvascular decompression: 以下MVD) が積極的に行われている. 従来の術前検査はCT, MRI, 椎骨動脈造影であるが, 脳神経と血管との関係を同定するには限界があった. 今回我々は, 上記症候群に spoiled GRASS MRI (以下SPGR-MRI) 及び3 dimensional time of fly Magnetic resonance angiography (以下3D-TOF-MRA) (以下本法) を施行し, 該当神経と圧迫血管の関係について検討した. 対象: 三叉神経痛及び顔面痙攣と診断された39例 (うち, 三叉神経痛23例, 顔面痙攣14例, 右三叉神経痛・左顔面痙攣合併例1例, 両側顔面痙攣1例)の41脳神経を対象とした. 結果: 三叉神経; 24側中16側 (67%), 顔面神経; 17側中12側 (71%) に脳神経と血管との接触を認め, 圧迫血管を推定することができた. 考察: 本法は, 従来の画像診断に比し, 上記症候群における圧迫血管を高率に描出でき術前検査として有用である. また本法で脳神経と血管との接触が確認されない場合やMVDによるアプローチが困難か合併症の発生率が高いと予想される場合には, 神経 block 療法が考慮される.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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