1994 年 1 巻 3 号 p. 407-412
ヒト星状神経節における感覚神経の入力を神経解剖学的に調べる目的で, 病理解剖で得られたヒト星状神経節のサブスタンスPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチドの分布を免疫組織化学的に明らかにした. サブスタンスP免疫陽性(SP-IR)線維およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド免疫陽性(CGRP-IR)線維共に星状神経節に認められた. SP-IR線維は散在性に認められたのに対して, CGRP-IR線維は豊富に認められた. 両神経線維共に axon varicosity を有しているものが星状神経節実質内に認められ, それらは交感神経節後細胞に密着しており, シナプス結合しているようであった. CGRP-IR線維では, 交感神経節後細胞に接するようにして先端が膨らみ, 神経終末様の構造を示した. 通過線維と思われるものの多くは axon varicosity をもたない太い線維であった.
本研究の結果は, 交感神経節後細胞に感覚神経が投射していることの間接的証明になった.