日本ペインクリニック学会誌
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持続硬膜外カテーテルの結節形成による抜去困難症例
北浦 道夫西本 雅彦佐牟田 健井上 一由檀浦 徹也大上 智誉佐藤 健治
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2003 年 10 巻 2 号 p. 165-167

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抄録

今回われわれは硬膜外腔で硬膜外カテーテルの結節が形成 (knotting) されて抜去困難となり, 観血的に抜去した症例を経験した. 症例は23歳, 女性. 帝王切開術を, 脊椎麻酔, 腰部硬膜外麻酔を併用して行い, 術後は持続硬膜外注入にて良好な鎮痛が得られていた. 術後2日目にカテーテルを抜去しようとしたところ, 抵抗が強く抜去困難となり, 疼痛を訴えた. カテーテルのトラブルを考え経過観察を行った. 術後4日目カテーテルより造影を行い硬膜外腔に先端があることを確認した. 体位を変えて抜去を試みるも, 強い抵抗と疼痛を訴えたため, 全身麻酔下に観血的な抜去を行った. カテーテルは硬膜外腔で軟部組織を巻き込むような形で結節を形成しており, 軟部組織を除去すると抜去できた. 術後は一過性に磐部から大腿前面にかけてのしびれ感を訴えたが, 徐々に消失し退院となった. 硬膜外カテーテルの挿入に伴う合併症には, 硬膜外血腫, 膿瘍, 抜去困難や断裂などがある. 抜去困難時には無理をせず, 造影を行い, 走行状態を確かめた後, 種々の抜去法を試みるべきであるが, 神経症状がある場合や, 非観血的に抜去不可能の場合, 観血的な抜去を行うのがよいと思われる.

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