日本ペインクリニック学会誌
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心因的関与が強いと考えられた難治性下肢痛の3症例
山田 信一上田 伸英上田 沙和子山本 洋介宮脇 奈央佐野 智美福重 哲志加納 龍彦
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2004 年 11 巻 4 号 p. 424-428

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抄録

治療抵抗性の慢性疼痛患者には心因性要因がしばしば関与している. 今回われわれは, さまざまな治療によっても鎮痛効果を自覚できない難治性下肢痛の患者で, 心因性要因が深く関与していると考えられた3例を経験した. 3症例ともに下肢の腫脹, 冷感を主訴とし, 非常に強い持続する疼痛を訴え, 疼痛のために下肢運動障害が認められた. 各種神経ブロックを中心とした治療に薬物療法を併用したが, まったく効果は認められなかった. 神経ブロックでは, 下肢の皮膚温上昇, 血流改善, 感覚鈍麻, 運動麻痺などが認められたが, 疼痛緩和には至らなかった. 心理学的検査としてMMPI (Minnesota Multiphasic Personahty Inventory) 法を施行し, 2症例で不適応水準が高かった. 難治性慢性疼痛患者は心理的要因が強く関与することが考えられるため, 慢性疼痛患者の治療には, 従来の疼痛治療に加えて精神的アプローチが不可欠である.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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