日本ペインクリニック学会誌
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トリプタン製剤の過剰使用に伴う薬剤連用性頭痛
その問題点と治療について
下畑 敬子下畑 享良茂木 僚一郎宮下 興馬場 洋
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2005 年 12 巻 1 号 p. 10-13

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抄録

トリプタン製剤過剰使用に伴う薬剤連用性頭痛 (medication-overuse headache; MOH) の1例を経験したので報告する. 症例は40歳女性で, 臨床的に片頭痛と診断された. スマトリプタン頓用 (1回50mg) による治療が開始され, 当初有効であったが, 徐々に頭痛の頻度が増加し, 緊張型頭痛も合併したため, 内服回数が増加した. スマトリプタンを100mg程度, 連日内服し始めたころから従来とは異なる持続性の頭痛が出現した. このためスマトリプタン内服量はさらに増加し, 1日300mgになった. スマトリプタン過剰使用に伴うMOHと診断し, 緊張型頭痛の治療を行いつつ, スマトリプタン内服を中止した. 中止後, 激しい離脱頭痛が生じたが, 1週間ほどで頭痛は軽減した. 以上の経験から, 片頭痛患者においてトリプタン製剤内服中に頭痛の性状が間欠性から持続性に変化した場合, MOHの可能性を考慮する必要がある. また, トリプタン製剤によるMOHをきたした場合には, 内服中止に伴い一時的に症状が増悪するので, 十分な患者教育が必要である. そして, トリプタン製剤中止に伴う離脱頭痛に対する十分な対策を立てる必要がある.

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